1960年代の傑作ダイバーズウオッチをモチーフにしたファーストコレクション
このモデルは、1960年代に開発され、当時ジャガー・ルクルトやロンジンなど名だたるスイスの高級時計メーカーからリリースされていた通称コンプレッサーダイバーをモチーフにしています。そのため、潜水時間を計測するために必要な逆回転防止付き回転ベゼルをケース内の外周部分に装備しているのが特徴です。ムーヴメントには信頼性の高いシチズン・ミヨタ社製自動巻きムーヴメントのなかでも、ヨーロッパやアメリカなどの海外メーカーも好んで使う上位機のCal.9015を搭載。それでいて価格は5万円アンダーに抑えました。文字盤カラーはブラックとネイビーの2種類から選べ、各150本(シリアルナンバー入り)を製作しました。
1960年代に一世を風靡した コンプレッサーダイバーとは
<上の写真は、コンプレッサーケースを使って1960年代にスイスの時計メーカーから販売された当時のダイバーズウオッチ。右から、ハミルトン、ウイットナー、エニカ>
さて、このモデルのモチーフとなったコンプレッサーダイバーとはどんなものか、それについて簡単に紹介します。
本格的なダイバーズウオッチが登場するのは1950年代になってからです。いまでこそ100mもの高い防水能力を備えた時計は数多く販売されていますが、当時は発達した工作機械などはないためすべて手作業で作っていました。そのため50m防水といえども簡単なものではなかったのです。つまり、高度な技術をもつ時計メーカーでしか作れませんでした。そんななかで生まれた最も代表的なダイバーズウオッチが、皆さんもご存じのロレックスのサブマリーナなのです。潜水時間を計測するための回転ベゼルを装備したスタイルは、今日のダイバーズウオッチにも受け継がれ、もはや代名詞と言える存在です。
同時期にオメガとブランパンからも、それぞれシーマスター300とフィフティファゾムスという回転ベゼルを持つ同様のダイバーズウオッチが発表されていますが、当時独自に開発できたのは、これらほんの一部のメーカーでダイバーズウオッチの開発がいかに難しかったかがわかります。それが1950年代後半になるとダイバーズウオッチが各社から続々と登場するようになります。その背景にあったのがコンプレッサーケースの存在でした。
ケースメーカーのEPSA社が1955年に特許を取得したこのコンプレッサーケースは、ケースにかかる水圧を利用して、水深が増すごとに密閉度を高めるというものでした。EPSA社はこれをスイスの各時計メーカーに供給。それによって多くのメーカーでもダイバーズウオッチの製造が可能になったわけです。そして、様々なデザインのダイバーズウオッチが各社から登場したことはもちろん、なかにはこれをベースにさらなる高い防水能力を目指して、独自に開発するメーカーが出てくるなど、ダイバーズウオッチの開発が一気に加速したのです。つまりこのケースの存在そのものが、ダイバーズウオッチの発展に大きく寄与したと言っても過言ではないでしょう。
今回のモデルは、そんなダイバーズウオッチの開発と発展になくてはならなかった、当時のコンプレーサーケースを使ったダイバーズウオッチをモチーフに作らせていただきました。もちろん、ケースは最新の技術で作られたものですが、コンプレッサーケースを使ったダイバーズウオッチ特有の経過時間を確認するための回転式スケールを風防ガラスの内側に設け、2時位置のボタンで操作するというスタイルや細かなディテールなど、当時の雰囲気を大切にしながら再現させていただきました。
回転式スケールは潜水時間を確認するための機能だった
文字盤の外周部分に装備する目盛り付き回転式のスケールは、どれだけの時間を潜水していたのか、その経過時間を把握するために設けられたものです。それは経過時間がそのまま酸素ボンベ内の酸素の残量に直結するからです。そのため左回転のみで右には回転しません。なぜならば誤作動で右に回転してしまうと実際の潜水時間より短く表示されてしまうからです。
操作方法はいたって簡単です。計測を始める現在時間、例えば10時10分であれば2時位置にある操作ボタンを使って外周部のスケールを回転させ、その上に表示されている▼マークを分針が指し示す10分のところに合わせるだけです。その▼マークを基準点に分針が進んだぶんが経過時間ということになります。ちなみに分針の先端だけが矢印形になっているのは判別しやすくするためです。約60年前とはいえ、ちゃんと考えられていますね。なお、4時位置のボタン(通称リューズ)で日付け調整(1段引き)および時刻調整(2段引き)を行います。操作する際は、防水強化のためネジ込み式になっていますので、一度ネジを緩めてから行います。
【ご注意!】
本製品は当時のダイバーズウオッチを再現しておりますが、スクーバダイビング用として使える、現在の潜水時計規格を満たしているものではありません。よって、10気圧防水を備えておりますが、ダイビングや水泳などのスポーツには対応しておりませんので、ご注意ください。
当時の雰囲気をさりげなく残すためこんなところにこだわって作りました!
1)風防にK1強化ガラスを使用
風防ガラスの形状は、アンティークウオッチで人気のドーム形ではないですが、ベゼルよりガラス部分を少し張り出させることで古典的な雰囲気を強調しています。今回、この雰囲気を優先するために、サファイアクリスタルガラスではなくあえてミネラルガラスのK1強化ガラスを採用しました。
2)古典的なステップベゼルを表現
1940年代のロンジンの時計などに多い仕様で、ベゼルが階段状に段差が付いていることからこう呼ばれています。当時は高い切削技術を要した仕様だったため高度の技術をもつメーカーでしか表現できなかったこともあり、アンティーク愛好家にもいち目置かれるているディテールです。今回それを表現しました。
3)着用感を高めたラグの構造
革ベルトを付けるラグ部分は手首のカーブになじむように、若干ゆるやかに下に向けて製作しました。しかも、実際にストラップを付けた際に、裏ブタの底面からラグにかけて、その延長線上にくるよう設計しているため、着けたときに手首になじみやすいと思います。
4)1960年代のミラーダイアルを表現
ブラック文字盤(写真左)はかつて1960年代の初期に作られたサブマリーナが採用する愛好家人気の仕様、ミラーダイアル風に仕上げたため、時分針が文字盤にほのかに映り込みます。また、ネイビー文字盤(写真右)はメタル調の質感でサンレイ仕上げを施しています。そのため光の加減で表情が変化しレトロモダンな雰囲気が味わえます。
5)ブラックとネイビーで違う仕上げを採用
今回、文字盤はブラックとネイビーの2種類を用意しました。ただ、それぞれにケースの仕上げを変えています。ブラック文字盤(写真左)はスポーツウオッチらしくツヤのないサテン仕上げ。一方のネイビー文字盤(写真右)はメタリックな文字盤に合わせて鏡面のポリッシュ仕上げを施し、よりモダンな印象にしています。
6)経年変化による焼け感を演出
文字盤に12個あるくさび形のインデックスに塗布したルミノヴァ夜光塗料は、顔料を少し加えてアイボリー調の色合いに変更しています。以前一般的に使われていた夜光塗料というと放射性物質のトリチウム。これは経年によって焼けたように飴色に変化するため、その焼けたアンティークの味わいを表現してみました。ただ、顔料を加えたことで夜光自体の効果が少し薄れています。
7)外周部にシリアルナンバーを刻印
裏ブタは風防と同じK1強化ガラスを使用したシースルーバック仕様になっているため、機械式時計の魅力のひとつであるムーヴメント心臓部の鼓動のような動きを楽しむことができます。しかもネジ込み式を採用し10気圧防水を備えているため日常使いにも安心です。外周部には「000/150」の限定シリアルナンバーが刻印されています。
8)信頼性の高い日本製の自動巻きムーヴメントを搭載
搭載するCal.9015は、日本を代表する時計メーカー、シチズンのエボーシュムーヴメント部門であるミヨタ社が開発した自動巻きムーヴメントです。同社の8000番台の廉価版と違い、毎時2万8800振動のハイビートで精度も非常に高く、ヨーロッパやアメリカなど海外でも信頼性の高い機械式ムーヴメントとして多くのメーカーで採用されています。
9)高品質イタリアンレザーを採用した2種類の革ベルトを付属
革ベルトにはイタリア製のヴィンテージ調レザー(写真上)を採用。アンティークな風合いを強調すると同時にファッション性を高めました。ブラック文字盤タイプにはブラウンのレザーベルト、ネイビー文字盤タイプにはネイビーのレザーベルトが採用されています。
それに対して付属の換えベルトは、少しかっちり目の装いに合わせたいときのためマットな質感のイタリア製カーフ(写真下左)を使用したクラシカルで落ち着いた雰囲気の革ベルトにしました。ブラック文字盤タイプにはブラックのレザーベルト、ネイビー文字盤タイプにはダークブラウンのレザーベルトが付属します。
両者とも裏材には水・汗に強い合成皮革「ロリカ」を使用しているため、夏でも安心です。また、ベルトの接合部にはレバーピン付きのバネ棒(写真下右)を備えているため、工具がなくともワンタッチで簡単に交換ができるのも特徴です。
10)信頼性の高い、メイド・イン・ジャパン
雰囲気が良くても時間を知る道具としての信頼性がなければ意味がありません。クォーツ式と違いデリケートな機械式の場合はなおさらです。そこで、針の取り付けからムーヴメントの組み込み、そして防水性、チリやホコリの混入などのすべての品質管理は、多くの国産時計メーカーに実績のある長野県安曇野市にある精密機器メーカー、南安精工にて行ないます。
『オフィスで実際に着けてみました』
私自身が実際に着けてみるとこんな感じです(左:ブラック、右:ネイビー)。私は極端に手首が細いため40mm径ながら若干大きく見えますが、普通の人なら手首の幅にラグ部分が納まるためちょうど良いのではないかと思います。スポーツウオッチですがクラシカルな雰囲気で厚さも12mm台に抑えたためビジネスシーンでも落ち着いて見えます。もう少しカチッとしたい場合はヴィンテージレザーではなく、付属するマットな質感の革ベルトに付け換えると良いでしょう。
【コンプレダイバー1960|Divers1960】
【SPEC】
●型番:Ref.YK18001-1(ブラック)、Ref.YK18001-2(ネイビー)
●素材:(ケース)316Lステンレススチール、(ベルト)イタリア製ヴィンテージ調レザー(ほかにスタンダートなタイプも付属する)、裏材は汗に強い合成皮革ロリカ製
●サイズ:ケース径40mm、ケース厚12.7mm
●防水性:10気圧防水(日常生活用強化防水)
●駆動方式:自動巻き(日本製Cal.MIYOTA9015 /24石/毎時2万8800振動(日差-10秒+30秒)/最大巻き上げ時40時間パワーリザーブ/ハック機能搭載)
●装備:逆回転防止機能付き回転インナーベゼル、デイト表示、シースルーバック
●希望小売価格:各4万9500円(組み立て:日本)
●保証期間:1年間
Ref.YK18001-1(Black)、Ref.Ref.YK18001-2(Navy)|Japan-made mechanical automatic movement(CALIBER MIYOTA9015)/316L stainless steel case/[Case diameter]40mm/[Thickness]12.7mm/[Power reserve]40 hours, self-winding/[Complications]date window/[Jewels]24/[Frequency:]28,800bph/[Water resistance]10ATM/Limited to 150/Made in Japan
Ref.YK18001-1(Black)
コンプレダイバー1960のブラック文字盤タイプ。ケースに艶のないサテン仕上げを施し落ち着いた雰囲気ながら、文字盤には1960年代の初期に作られたサブマリーナーが採用するグロス感のある黒を表現。高級感を醸し出します。ブラウンのイタリア製ヴィンテージ調革ベルトのほかにスタンダードなブラックの革ベルトが付属します。
Ref.YK18001-2(Navy)
コンプレダイバー1960のネイビー文字盤タイプ。ケースには鏡面のポリッシュ仕上げを施し、ネイビー文字盤にはサンレイ仕上げを施しました。そのため光の加減で表情が変化しレトロモダンな雰囲気が味わえます。ネイビーのイタリア製ヴィンテージ調革ベルトのほかにスタンダードなダークブラウンの革ベルトが付属します。